在宅医療のすすめ
病気になっても、安心して住み慣れた生活の場で療養をする。そんな思いを叶える方法に在宅医療があります。大切な家族の誰かが、病気になり通院できない場合に、病院でなく、自宅などで治療を行うことが在宅医療であり、通常病院で行われる入院医療や外来医療に次ぐ第3の医療として、多くの人に受け入れられるようになってきました。
在宅医療は、医師をはじめ、歯科医師、訪問看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、ケアマネジャー、ホームヘルパーなど多くの方々が連携して定期的に患者さんのご自宅などを訪問し、チームとなって患者さんの治療やケアを24時間対応で行っていく医療活動です。
その中で、医師が患者さんの自宅などに出向いて行う診療が「往診」や「訪問診療」です。また、かかりつけ医を通院しながら自宅で看護やリハビリテーションを受けることも在宅医療の一つと言えます。
在宅医療を受けるメリットは、住み慣れた場所に居ながら医療を受けられることですが、一番重要な事は、具合が悪くなった時の不安に応えてくれることです。
自分で病院に行くことが難しくなると、体調が悪くなるたびに不安になり、何度も救急車を呼んだり、逆に症状があっても我慢してしまい、病状を悪化させてしまう事もあります。
医師の往診があれば、多くの場合自宅や老人ホームなどに居ながら必要な治療が受けられます。また、必要があれば専門医を紹介したり、急を要せば救急車を依頼する場合もあります。
また、訪問看護などの医療職であれば体調の悪化が急を要するのかどうか、通常の外来での診察で良いのか、かかりつけの医師と連携しながら判断してもらう事もできます。
入院を繰り返していた方が、在宅医療を受ける様になってから、何年も入院する事無く自宅で穏やかに過ごしている方もたくさんおられます。
そして、「最期は自宅で穏やかに迎えたい」と言う願いにも、在宅医療チームは強い味方になってくれます。
人は命の危険が迫った状態になると、7割の方が医療・介護などを自分で決めたり、望みを人に伝えたりすることが出来なくなると言われます。
自らが希望する医療・介護を受けるために、大切にしていることや望んでいること、どこで、どのような医療・ケアを望むかを自分自身で前もって考え周囲の信頼する人たちと話し合う事が大切です。
そして、その中であらかじめ意思決定が出来なくなったときに備えて、自分に代わって意思決定を託す人を決めておくなどの準備があれば、いざと言うときに望まない医療(延命治療)を受けずに済みます。
病状が重くなって体調が心配、介護が必要になって病院への通院が難しくなって来たら、早めにかかりつけの医師や担当のケアマネジャー、所轄の地域包括支援センターに在宅医療について相談しましょう。