地域包括ケアの実現にむけて学校教育で介護・看取りの導入を

 

 

「地域包括ケアシステム」とは、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその能力に応じ自立した生活を営むことができるよう、「医療・介護・介護予防・生活支援・住まい」の五つのサービスを、一体的に受けられる支援体制のことだ。 そしてそれは「自助、互助、共助、公助」の四つのヘルプを基本概念としている。自助とは自らの意欲と参加を促し自己能力の育成を、互助とはボランティアやご近所による自発的助け合いを指す。共助は社会保険、共済など、公助とは貧困や虐待などの弱者保護である。2012年からは、本人、家族の選択と心構えそして住まいと住まい方が基盤とされた。 そしてこれまでの全てを援助する福祉原理主義から自助を促すこと。そしてそれを支える家族、地域の互助が重要であるとされている。

 

 高齢者介護の先にあるものは人生のゴールである死である。人生を満足して締めくくりたい、そのためには「最期は自宅で」と望む声は多い。しかしながら終末期は介護者への負担が大きな不安となっていることが判っている。高齢社会、多死の時代を迎え、これまでの様に病院で療養して最期を迎える事が難しくなってきていることを踏まえると、高齢者の在宅療養を支えるために家族力、地域力の育成は喫緊な課題である。

 その為には地域資源への働きかけも重要であるが、最も重要なのは一番身近な家族による介護力の育成だと考えている。

 核家族化が進む以前は、家庭の生活のなかで「老い」と「看取り」の介護を経験し学んでいた。1970年代半ばから病院医療が急速に発達し8割が病院で最期を迎える様になった現在に至るまでに高齢者の介護、そして看取りは日常生活から切り離される様になってきた。介護力不足は老人世帯が増えたことのみが問題ではなく、家族に介護に取り組む自信と覚悟が無いことも重要な要因なのである。

 

 

 高齢者の介護、医療を支える専門職のあり方、行政のあり方も常に検証し改善していくことも重要であるが、取り組まなければならないのは、死を忌み嫌う社会情勢を払拭し、望む場所でゴールを達成できるよう家族で支えられる様になることである。